食品工業の失敗学

製造年月日にこだわるお刺身文化が高コスト食品の原因 知ってた? 


不二家が実に取るに足らない品質管理の瑕疵を捉えられ、マスゴミに袋叩きの上潰れてしまったのは記憶に新しいところ。(2007年)
あの報道のほとんどは「微生物学と食品衛生法、日本農林規格を理解できない奴が報道するな」という代物でしたが、一般消費者が理解できるわけもなく。 ま た「報道は全て真実」と思っている理解力のないお馬鹿さんも多く。 みのもんた信者のおばさんたちによって、あれよあれよと言う間に老舗がこけてしまいま した。

そして、今度は赤福。
間抜けと言えば間抜けな話。

赤福のここには同情してやろうよ

「解凍日を製造日にしていました」ということが非難の対象になっておりますが。。。
食品衛生法やJAS法が「製造年月日+賞味期間」表示から「賞味期限表示」(あるいは消費期限表示)に切り替えて約10年たつというのに、いまだに製造年 月日を知りたがる人が居るのですなぁ。
この際、「製造年月日表示」を禁止しないと、この手の話は無くならないでしょうね。

日本人が製造年月日をやたらと気にするのは「刺身文化」だからだそうです。 
つまり、「すぐ食べないと食あたりする」危険な食文化の中で暮らしているので、いつ造ったかが「やたら」と気になるらしい。 何しろ刺身一切れについてい る細菌の数たるや10万を軽く越えることもありますから、危険な食品であることには間違いなく「早く食べること」が安全のために求められます。(嫌な食品 だなhi)

危ない「刺身」という食品を長いこと食べているうちに日本人が身に付けたのが、「新鮮原理主義」なんですね。
なんたって3年持つ缶詰でさえ製造後半年以内に納品しろとという「流通様」がいるくらいですからね。
日本の新鮮原理主義に固まった流通小売が悪いのか消費者が馬鹿なのか、説明を放棄した食品メーカーがアホなのか。。。  3馬鹿ですな。

赤福の場合、厚労省や農水省の定めた(あるいはお奨めしている)「賞味期限表示」(あるいは消費期限)だけにしておけば何も問題はなかった。
製造後、すみやかに急速冷凍で凍結し、冷凍保管し、適切に解凍して、解凍された時点から賞味期間を数えて賞味期限 (消費期限)を設定することは、なんら法に違反しないし、非難される謂れの無い事だからです。 
なまじ「謹製」なんてつけるから話がややこしくなる。

だって保健所はOKって言ったしぃ。

ややこしくなるにはなるけれど、三重県の伊勢市担当の保健所は、冷凍解凍工程も製造工程の一部であると認定したから、30年間検査合格にしてきたわけでしょ。 
それをいまさら、役所の見解が変わりましたといわれてもねぇ。 赤福は被害者ですね。 そういう意味では。
三重県の保健衛生担当部局のアヤシサは毒物カレー事件でも露呈しておりますけどね。

無理なことすると破綻します。

賞味期間があそこまで短いと、売れる土日のために金曜土曜に大量に作り、その他の日は工場従業員がポカンとしているという、実に工場運転上無駄な操業を取 らざるを得なくなります。 そこで、冷凍し、適宜出荷すると言うことは実に理にかなった良い企業運営でありました。 赤福の工場社員だって土日は休みたい だろうし。 大量に作って雨でも降って大量に売れ残って大量廃棄ではモッタイナイ。 炭酸ガスだって無駄に出すことになる。 「利益優先」でマスコミが非 難するけど、企業の命題は利益を出して継続的に運営して従業員と株主と取引先に利益を還元することだから「利益優先」は間違いではないよね。
だれも廃棄になった分の製品コストが乗っている「8個入り3000円」の赤福を買いたいとは思わないだろう。

ただし、いかにも「今作りました」というのは反則だと思うけどね。  

あれだけ痛み易い菓子を手作業で作っている上に原料配合に保存のための工夫が見られない以上、冷凍貯蔵解凍出荷は選択の余地のない手法でしょう。
それなら、「こんなに風味の変わらない素晴らしい冷凍方法ですよ」と大見得を切ってしまったほうが良かったのですが、赤福様の場合、会社さんが大きくなっ ただけで、まともな品質保証部門がなかったので、その手の決断が出来なかったのでしょうか? まぁ地方の同族会社は、えてしてこんなもんではありますが。  

原料の表示順序もJAS法違反だったらしいですが、こんな食品会社入社1年目の人でもわかるところを失敗するのは、食品技術者が居なかったのか、確信犯な のか?ですが、この砂糖をマルトースやブドウ糖に変えるだけでも、水分活性が落ちて少しは日持ちが伸びるでしょうし、pH4程度まで酸味料でpHを落とせ ば赤福を酸っぱくさせることなく微生物制御が出来たでしょうに。。。。 なぜそういう合理的決断をしなかったのかね?
(きちんと教育を受けた人が居なかったとか? 田舎の食品メーカー共通の怖いところではあります。)

北海道の「白い恋人」の場合は、短い賞味期限を無理無理延ばしたというところが馬鹿で、だいた い、そこまで延ばせるなら、はじめから長めの賞味期限にしとけばよかったじゃないの? です。 あの手の乾燥した菓子は微生物型の変敗より脂肪の酸化によ る風味の劣化が賞味期間の長短を決めるからガスバリア製の高い容器に入れて脱酸素してやればそこそこ長持ちします。 詳しくは エージレスの話をどうぞ
あの場合も、販売店の「作りたてをもってこい」というリクエストに合理的説明をしないから、ああいうろくでもない選択(賞 味期限の貼り直し改ざん)をしたわけです。
私が以前居た食品会社では、その月の生産の賞味期限は皆同じでした。 「日付逆転」という恐怖の反則を防止する為に考え出した裏ワザでした。 

日付逆転の恐怖

賞味期限の先入れ先出しを極端にきにする日本では10月1日製造の製品を納品した後、9月30日の製品は納品できません。 たとえば9月30日に10万本 ジュースを造って、そのうち2本に賞味期限を印刷しそこなった製品がでたらしい。 では検査して、その2本を探そう、でも1週間掛かるよ。  とします。
とりあえず10月1日製の製品を納品したら、9月30日製造の製品は絶対小売店には受け取ってもらえません。  結局売り先がないので全て廃棄です。  もったいないでしょ。 でも廃棄です。
それが「日本の商習慣」だからです。
不良を出さなきゃいいではないか!とスーパーマーケットのバイヤーさんは言います。 スペースシャトルでさえ墜落するのに、1個200円でお釣りの来るも のに、そこまで求めるのか? とは食品メーカーの率直な感想です。

PGJの場合
1日違いでがたがた言われるのが嫌だったPGJは、賞味期限をまとめてしまいました。 12月中に賞味期限が来るものはすべて11月末日を賞味期限にしま した。 1週間製造日が違っても賞味期限は同じ。 科学的な評価の結果の結果、そういう賞味期限表示でもOKと判断されれば、賞味期間が3ヶ月を越える食 品の場合まったく違法性はありません。

これは営業や問屋さんから拍手喝采でしたよ。
だって、賞味期間が24ヶ月もある食品の賞味期限が30日くらい幅を持っていても屁でもないから。
保健所に聞いても農水省に聞いても、「まったく問題ありません」でした。

赤福が違法なことをしたのは

原材料表示の順番が砂糖が一番多いのに砂糖を最後に持ってきた。  
一度出荷したものを冷凍保管して、新しい製造日をつけた。
この2点です。
はじめから冷凍する気で冷凍したものを解凍して、その日の日付をつけて出荷するのはまったく無問題ですよ。
あとはグレーもしくは、まったくの適法処置です。

でも、マスゴミが袋叩きにしてつぶしちゃうのかなぁ あの老舗。

いいじゃねーか。 だれも解凍品だって判んなかったんだろ! まともな舌を持ってないくせに偉そうに言うなよ。 赤福がかわいそうだよ。
ところで、デパチカなどでケーキを買うと賞味期限表示のスタンプをその場で押すお店っていっぱいあるよね。  あれ、ほとんどが賞味期限(消費期限)の改ざんになるんじゃないの?

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と、以上が10月15日以前の情報。  ところが

死んでしまえ!

今日10月19日の発表では、赤福様におかれましては市場からの返品を再生し出荷していたそうで。
以前ネスカフェが市場からの返品を水に溶かして再生産していたことがありましたが、あれは科学的根拠に則っていたものでした。
赤福の場合同情のしようも言い訳のしようもない。

PGJもその昔、某潰れたハム会社で製造後1ヶ月たった返品に新しい賞味期限をつけて出したことがあるが、それは本当に大昔のこと。

やはり、田舎の食品メーカーは信用ならん場合が極めて多いという結果ですかね。
法律に従わない、平気で無視するのは、中国をはじめ韓国、日本など東アジアの共通項ではありますが、とくに地方はその傾向が強いですね。

困ったピープル、食品科学や食品法規を知らないのか(教育のない人々のやることは恐れ知らずです)、知っていて無視しているのか知りませんが、、、、
呆れ返るケースが多いです。

というわけで、お福餅を食べているPGJです。

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