話の種

タイヤに窒素ガスを入れるメリットは?

レースカーのタイヤに窒素ガスを注入することがあります。 理由は多々ありますが、「レース用タイヤの精密なセッティングを一般空気中の湿度の変動から守るため」というのが最大の理由。
小学校理科で学ぶごとく空気の構成比は、

約8割が窒素、
約2割が酸素、
0.04%弱が二酸化炭素

気体の標準状態は25℃、1気圧(100kPa)で1モル24.8リットル(昔は22.4リットルと習ったもんだが)。 窒素も酸素も皆この条件です。
窒素だけ膨張率が低いとか言う自動車パーツ屋が居ますが理科の苦手な人に自動車整備してほしくないねぇ。
どうやったらそんなに理科が苦手で整備士の試験に受かるんだ? です。

さて乾燥気体はボイルシャルルの法則で単純に理解しやすいですが、それでも容器容量が一定でないタイヤの場合(内圧が上がると容積も増える)は、
ややこしいので関孝和にでもお出まし願わないとPGJの数学ではどうにもならん。
おまけに、ここで語っているタイヤに使う一般空気は、沙漠地域でもない限り水分が混ざり込んでいます。
この水分がややこしい。 こういう素敵なソフトウェアを出している会社もありますから、数値処理できないわけではないですが、いまさら積分とにらめっこは疲れる。。。
たしかに水分がタイヤ中の空気に含まれていると膨張の度合いは乾燥空気とは大きく異なります。
水分の影響についての、平易な説明がヨコハマタイヤのwebにあります。

では実験

こういう実験は、同じ路面、同じ気温、同じ日射、同じ質のタイヤ内空気と云うふうに条件を揃えないと正確に語れないのですが、
とりあえず、「普通の空気で悪影響が出るほどタイヤの条件は変化するのか?」翻って、「自動車パーツ屋の窒素ガス宣伝は価値あるものかオカルトなのか?」
を見る程度には役に立つのではという気持ちで実験してみました。

ケース1 スズキジムニー

この手のクルマのタイヤの指定空気圧は比較的低圧で1.6Kg/scm(キログラムパー平方センチメートル)。

ケース2 アウディA3クワトロ3.2

A3は走行条件や積載条件によって指定圧力が異なりますが「2人乗りで荷物特になし」条件で2.5Kg/scmに設定。

ちなみにいくらDL(ドイツ連邦共和国)のアウトバーンでも250Km/hで走行して違反にならない路線は減少する一方で、
さらにスピード違反でなくても保険会社があまりに高速走行での事故に対して支払いを拒むケースもあるそうな

F1 窒素をタイヤへ???

というわけで、超高速で走り、かつ空気容量の大きいレース用タイヤでも無い限り、乾燥窒素ガスにこだわらなくても良いようです。
逆に、高速走行すると勝手に圧が上がって、タイヤの変形や、それに伴う異常な熱上昇(バーストの原因)を防いでくれるので逆に通常空気の方が便利かも。

まして、組み付ける際に水系ワックスをリムに使ったり、脱水装置のないコンプレッサーでリムへの圧着を行ったりしたタイヤ内部は湿気だらけ
これを乾燥窒素で置換するためには、かなり長い時間窒素ガスを上図のように延々オーバーフローしていないといけません。 なんたって気体の出入口はバルブ部分しか無いのです。 あそこから細いノズルで延々吹き込み、隙間から抜くんですから、いったいどれくらい時間がかかるのか?
炭酸ガスと異なり液化した窒素は-200℃と温度が極めて低く、取り扱いに危険を伴います。
この為、どうしても気体ボンベで運ばざるを得なく、輸送コストを含めて値段が高くなります。 というわけで二束三文の値段でできるわけもなく。。。。

世の中にはいろいろなオカルト商品が出回っています。 家電製品しかり、 省エネルギー商品しかり。 「抗菌」などもそうですね。
素人騙すのは手間がない! と思っている確信犯と、自分もオカルトを信じてしまっている業者に騙されないように。 タイヤメーカーはタイヤの空気圧に付いてこのように説明しています。 けっこう良い説明だよ。

空気圧はまめに自分で計測しましょう。 これが一番。

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