話の種

第35話 バブル雑感、ニュージーランドと日本

バブルの話(数字の上だけの好景気)

ZL(ニュージーランド)もJA(日本)もただいま(2007年5月現在)好景気。(数字の上ではね)

ZLはNZ$高でJAとW(合衆国)への輸出が辛くてヒーヒー言っていますが、ユーロ高のおかげで何とか欧州には輸出できているらしい。
2000年にNZ$1.00=42円だったのが2005年には92円! 今80円台前半でうろうろしていますが、ZLの輸出企業各社の考える最適レートは60円台半ばだそうですから、下がったとはいえ高すぎて困る状態です。

ZL産品と言えば農産物かその加工品、よっぽど付加価値が無いと欧州で売るのは大変。PGJの今は亡き勤め先も欧州向けは日本向けよりさらにひと手間掛けた製品でした。ただし不味かった。「奴ら、これが旨いのか?」と欧州系ニュージーランド人でさえ言っていましたから、不味さに間違えは無いようです。嗜好というものは本当にお国柄が出ると言ういい例ではありますね。

ニュージーランドの不動産バブルと円キャリー

さて、洋の東西(というかこの場合は南北かな?)を問わず、バブル景気は人を馬鹿にします。現在ニュージーランドは不動産バブルで、日本の20年前を見ているようです。

さすがに文明国ですので日本のような悪徳不動産屋の地上げはありませんが、「誰が住むんだこのマイクロハウス?」という物件が都市部に増えています。あんまり酷いので、ホークスベイのヘースティングス(Hastings)市当局は、ある不動産業者のミニ開発の申請を条例に基づき却下しました。
「当市の住宅の最低敷地面積は350平米!」
「一軒当たり100平米などと言う馬鹿げた狭さの家は許されない!」

日本では100平米、33坪の家なんてごろごろしていますよね。さすがZLですが、ともかく日本の普通の家サイズの小さい家がZLでも建ちだしております。が……。

しかし、そんなウサギ小屋物件がZLで売れるわけが無い。これらはすでに供給過剰で、投資でそれらのミニ開発を買った人々はローンを返せず(年利9%ですからね)破産する人が続出しております。
アジア系移民に対する英語の試験が厳しくなったので移民者が激減したというのが理由の一つらしい(=人が増えなきゃ家は要らない)。

そういうオークランドのワンルーム物件を投資で買おうというのは、今まで不動産投資に縁がなかった中流層で、投資が回収できるかどうか見積もりが立たない素人の悲しさが破産の原因。
新聞を見ていると「銀行からのお知らせ:何処の誰さんは何月何日をもって破産しました。債権者は当銀行へご連絡ください」という広告は珍しくありません。

破産広告

新聞に載る個人破産の公告

なぜZLがバブルかといえば、大量に流れ込む日本円(円キャリートレード)が原因です。
ご存知のとおり日本は超低金利、ZLは運用型定期預金10%なんていう「とんでもない」高金利(これは結構危ないが)。そこで世界中の金融屋が「日本でお金を借りてZLの銀行へ預ける」ということをするわけです。超低利で借金して、その金を高利の預金にして差額を得る仕組みですね。

このため「日本円でNZ$を大量に買う」状況が出来上がっています。買いが増えれば値が上がるのは当たり前。かくしてNZ$は日本円に対しドル高で進行しているのです。
(PGJはそういう浮利を追うのは嫌いなので、そういう馬鹿投資はしないよ 念の為)

銀行は大量の投資を受ければ出資者・投資者への利息をひねり出さねばなりません。そこであっちこっちに融資を進めます。個人なら住宅ローン(審査30分が売りのASBバンクはあっという間に通してくれます)、企業投資、M&A資金とどんどん融資します。

ただし、外貨で借りた借金は外貨で返さねばなりません。ところがZLは外貨の稼ぎようが無い。不動産業は基本的に国内の金がぐるぐる回っているだけで外貨を得る率は少ない。外貨を得られるのは農産加工品の輸出と映画の製作ですが、こうドル高が続くと売れない。というわけで、ZLの貿易収支は真っ赤っか。
さぁ、破綻しますよ。JAの皆さんが重々経験したバブル崩壊がやってきますよ。ZL政府の財務当局やエコノミストは散々警告を出しています。曰く「使うな!貯めろ!」

バブルに踊るニュージーランド人の中古文化

ところが、「バブル景気は人を馬鹿にします」なのです。今まで縁のなかった人が縁の無い分野に手を出します。「素人は怖いもの無し」「素人は火傷する」と言われていますが、やるんですなぁ。

1. 高級中古車?が売れる

ZLの一般市民の間では「景気がよくなったから新車にしよう」ではなく「景気がいいから、もう少し高い中古車にしよう」というのが一般的です。
新車のEcho(トヨタ・ヴィッツ)が買える値段で、保証の切れたニュービートルが売れたりします。(新車で買えば値段は倍違うから。XYLが3年の保証が切れた途端にお払い箱にしてカローラスポーツに買い換えたニュービートルは下取りの3日後には売れていたそうで)。
ロータス・セブンあたりなら修理しながら乗る楽しみもありますが、エンジンをいじるのにバンパーまで外さねばならないニュービートルは、PGJから見れば「そんな田舎で最寄りのディーラーが200kmも先なのに、保証切れのクルマを良く買うなぁ」ですけどね。中古のちょっと高めの欧州車や大きめのランドクルーザーの中古は飛ぶように売れています。

2. ボロ家を直して売る趣味

週末に2年ほど掛けて日曜大工(DIY)で家を修理改築して、また売るという趣味の形態があるZLですが、バブルの影響でボロ家の値段が上がりすぎ。修理が終わった頃にバブルがはじけていたら修理代も出ないよ。
いずれにせよ基本サイズが日本の家屋と比べると桁違いに大きいので改造の自由度は大きく、工夫のし甲斐があるようです。
中古住宅を改修する趣味というのは日本では無いですね。日本の一般住宅は小さくて修理を考えていない建築で修理しようが無いからかもしれません。(で、日本の住宅平均耐用年数25年)。

3. ヨットを買おう

庭先にヨットやボートを置いておいても邪魔にならないZLの地方都市では良く売れています。当然のように中古。日本のバブル崩壊で叩き売りになったクルーザーもかなりZLへ入ってきていましたが、その大中古クルーザーを、バブルで買える身の上になった人が買うのでしょう。まぁKiwiはなんだかんだで動く程度には自分で修理してしまいますから、それで良いのかも知れません。

あらかた中古品を直しながら使うZLの人々は、バブルとはいえ堅実といえるかもしれません。

一方、日本の一点豪華主義と「貧乏根性」

1. 舶来のゴミ

日本では無意味に高いものが売れています。原価、加工度、付加価値、どれを考えても「これがその値段であるわけが無い!」というものを前に「良い物にお金を払うことは躊躇しない」と、戯けた(たわけた)勘違い消費者がTVニュースのインタビューに答えています。
おまえはそれがそんなに優れたものだと思うのか!?とPGJはXYLと一緒にTVに茶々を入れていますhi
ちょっと海外のサイトを見れば中学英語で十分調べられるじゃありませんか。現地で買ったら1,000ユーロもしないものに30万円の値札がついていたりしますが、ほいほい売れています。

カタログ性能だけでお買い物:
3,000万円の欧州製スポーツカーを日本の狭くて混んでいる低速道路で乗って楽しいか? 首都圏で車が売れないのも都市住民には「クルマはステータスシンボルではない」状況になったからです。しかし勘違い野郎はまだ絶滅していないらしく、彼らはそれらのスーパーカーでディスカウントショップに行くのです。hi
3,000万円のクルマ1台より1,000万のクルマ3台のほうが使い勝手がいいと思うのは我が家の思考回路です。(むろん我が家に1,000万の車を買う予算はありません。A3は600万だしジムニーは200万。合わせたって800万 アハハハハァァ……アーア サラリーマンにはこれが限界)。

アンバランスな買い物:
昨今また、箱根で見かけるオートバイが増えていますね。ほとんどのライダーが普段着で乗っています。ヨーロピアンスタイルやレーサーレプリカは革のブーツと革パンツを履いて乗らないと抑えが利きませんが、大多数はジーンズにスニーカー。
そんな装備だから実にヨチヨチとした走りで750cc以上のオートバイを走らせています。革ツナギを着ろとは言わないが、そんなよろよろとした走りでそんな馬鹿でかいのに乗って楽しいのかい?

100万円のバイクを買ったらヘルメット、ジャケット、パンツなどの装備や整備、保険で別に100万円掛かると言われた時代がありましたが、今は予算すべてで車体を買って残りはゴミ装備らしい。予算が100万しか無いなら、せめてバイクは60万にして40万は装備にしたほうが良いでしょう。快適だし、見た目が貧相にならないよ。

スニーカーで乗るバイク

普段着・スニーカーの大型バイク乗り

成金趣味:
不動産も、「うわぁ」な国籍不明のスペイン邸宅風、フランス別荘風が建っていますが、ありえないチープな調度と建築。だいたいこの家の何処にそんな金が掛かったんだ?「直輸入の建具金物です」。そんな修理不能な輸入部品(たいてい本国では安ホテルの調度クラス)に無駄金をはたいてしまうのはバブルのせいですね。
良い物を見慣れていないと物の良し悪しは見分けられません。バブルで急に金回りが良くなって選択眼ができる前に飛びついて買ってしまう人が多いのでしょう。この痛々しい状態が「成金趣味」に見えるのだとPGJは思います。

そもそも首都圏や東海では近い将来大地震が起きます。地震で灰燼に帰してしまうものにそんな無意味な大枚の投資なんて、PGJには考えもつかないですよ。免震住宅・耐火設備への投資なら価値があるとは思いますけどね。

日本のバブル=一点豪華主義の根底にある「貧乏根性」

どうも、日本のバブルは一点豪華主義が主流のようです。そして一点豪華主義というのは、基本が「貧乏根性」にあるらしいです。

これは近代以降の日本人の習性らしく、大量の艦隊編成をもてないので、沈まない(はずだった)超弩級戦艦大和・武蔵を作ってしまった帝国海軍の発想も一点豪華主義の産物といわれているそうです。
「沈められても金があるならいくらでも作り直しが利く。しかし貧乏だから壊されたら次が無い。金が無いから沈まない豪華装備」と歴史小説家が戦艦大和について解説していましたが、分かり易い解説ですね。

また、陸上自衛隊が誇る90式戦車も、「これでソ連の戦車には1対1では負けない」という無意味な価値観のために作ったらしいですが、「あんなものに大枚使うなら隊員の職場環境や消耗品備蓄を増やせ。戦車があっても燃料が無い」という話も近所の基地の周りでは良く聞かれます。
アメリカ製の最新鋭戦闘機はザクザク持っているけれど、対地攻撃耐性(抗堪力)のある燃料タンクが非常に不足している航空自衛隊の例を見るにつけても……。

アパート住まいのフェラーリ。
無理して建てた南仏風のお屋敷もどきのローン返す為に通勤4時間、外食も旅行も無し。
マクドナルドの100円バーガーでお金を貯めてロレックス。

これらと同じ貧乏臭さを感じるのです。日本の文化なんだろうか?
それにしても、日本のバブルは、なんか痛々しくないですかね。

2022年追記: そして、この記事を書いた翌年に リーマンショック が起きたわけでしたなぁ。

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