話の種






ごはんは冷凍しろ と言うお話。

日本のお米はおいしいですね。 あの粘りと甘さは、日本人で無いとわからない。 わからないといいながらも、それでも、オーストラリアやアメリカで作っています。 

我が家で食べているのはオーストラリア産コシヒカリです。 乾燥と精米の方法が、日本に比べて各段に落ちるので、そのせいで米粒が割れています、 また そのせいで、口当たりが内地米の高級種と比べると、そりゃ落ちますね。

それでも、昔の外米に比べれば美味しいです。 

この味の差は、同じ品種の米を育てて同じ精米機械を使っても、米の美味しさを理解できない人が、美味しい米を作るのが本当に困難だから生じます。

これは米ばかりでなく、あらゆる加工食品は、その食品本来の美味しさを知らない人が作れば似て非なるものになります。 お米も田んぼから取ってきてから乾燥させ、保管し、精米し、とある意味立派な加工食品です。 

さて、NZで手に入るのはカリフォルニア産のササニシキを改良した米と、先ほど紹介したコシヒカリです。

米の美味しさを決める要素は、まず米の栽培品種、ササニシキだとか、コシヒカリだとか、ムツホナミだとか、あきたこまちだとか、日本晴れとか の品種の違いです。 次に、保管条件。 

玄米は別の言い方をすれば、種子、タネです。 

種は春が来たら芽を出すようにプログラムが組まれた、生きている植物組織ですから、食品としての保管中に、こいつに芽が出ないように保管しなければなりません。

わかりやすい例えで言うなら、北海道名産ジャガイモ! 皆さんご存知のとおり、収穫したてのジャガイモはホクホク、これが一冬越すと、ホクホクでないけれど甘い芋に変わっています。 芋に限らず、米にも含まれている澱粉は多糖類という分子数が大きい糖類の一種です。  まぁ砂糖の仲間と思っていただければよろしいです。 分子というのは、すべての物質を作っている元素の集まりのことです。 ま、これは忘れてよろしい。


で、澱粉は、植物の燃料タンクのようなものです。 これが、冬を越えて、周囲の環境が春めいてきますと、燃料タンクからエネルギーを出して芽を発芽させなければいけません。 澱粉はそのままではエネルギーになりません。 単糖といいまして、分子量の小さい、植物が栄養源として使いやすい糖類に分解されなければなりません。 ジャガイモは冬を過ぎて春になると、澱粉を分解して糖分に変化させ、芽を出す準備をします。 ですから、冬を越したジャガイモは甘いのです。


人間も口の中で唾液に含まれる酵素の力で澱粉を糖に変えますよね。 ご飯を口の中で噛んでいるとだんだん甘くなってくるのは、そのせいです。 人間の内臓の消化器官は澱粉をそのまま効率よく吸収できませんから、唾液で澱粉を糖類に分解しているのです。 植物も動物も、エネルギーの利用方法は似たようなものなのですね。


お米も一緒です。 保管方法が悪ければ、お米は保管中に稲の種としての活動をはじめてしまい。 結果として美味しさが無くなってしまうのです。 このほかに、お米の中に含まれる脂肪分が、空気中の酸素と結びついて酸化して、味が悪くなるというのもありまして、かくして保管の悪い古米はまずいわけです。 脂肪分が酸化して不味くなるの理屈は、てんぷら油が古くなって不味くなるのと同じ理屈です。


現在は、米の倉庫は、CA倉庫といいまして、これはコントロールドアトモスフェア、環境管理倉庫とでも訳しますか、倉庫内の酸素量、二酸化炭素量、温度、湿度、を自由自在に制御して、作物を冬眠状態にして保管する倉庫に保管されていますので、古米でも、そうそうまずい米はありません。 ちなみに、この種類の倉庫は、りんご、バナナ、ジャガイモなどなど殆どの作物の長期保管に、それぞれの最適条件を設定されて使われています。 おかげで皆さんは年中無休で、いろいろな作物を食べることができます。


品種、保存方法、と、きたら、次は、精米方法です。 

精米というのは、表面の酸化した層や、胚芽の部分など、味を損なう可能性のあるものを削り取る、作業のことを言います。 胚芽の部分にはビタミンが含まれていますので、精米をして、その部分を削ってしまうのはビタミンを捨ててしまうことになります。 もったいないといって玄米を食べる人もいます。 お好みですが、わざわざまずい米を食べるくらいなら、私は削って捨てたビタミンを別の食品で採る方を選びます。 


大体玄米はうまくない、うまくないと唾液の分泌が悪い、唾液が少ないと米が口の中で糖分に分解できない、のみ込みにくいから、下手するとお茶漬けで流し込む人もいますが、ただでさえ消化しにくいものを丸呑みするから、胃に負担がかかる。結果として消化できない。 

というわけで、玄米食というのは、長所より、欠点のほうが多いですが、ま、好き好きですから。 皆さんのお好みでどうぞ。 ひとついえるのは顔が四角くなりますよ。 かみ締めてるうちにえらが張ってきますからね。


で、お米の精米ですが、あんな硬いものを削るわけですから、熱が発生します。 また、精米機によっては精白したお米の表面が平坦にできず凸凹が激しくなります、こうなると精米後の風味の劣化が激しくなります。

精米機の良し悪しは、この熱の発生や、削り方の良し悪しによる、風味の劣化の度合いの大小が大事なところだそうです。  ご家庭用の精米機は、その日の分を、そのたびごとに使うには良いけれど、精米して溜め込んでおくと、買ってきた精米済みのお米より、はるかにまずくなる。 とのことです。


次の要素は何でしょう?


米の容器です。

精米した白米は生鮮品です。


極端に言えばそうです。

精白というのは、お米の表面の味の悪くなった部分を取り除いている訳でもありますが、精白したお米をほっておくと、また、表面が酸化して不味くなる。 それを防ぐために、精米業者は、酸素を通さないプラスチックフィルムや、アルミフィルムで作った容器に精白した米を詰めて売っています。 皆さん、ビニル袋と簡単に言いますが、昨今、食品の容器でビニルを使った袋はまず無いです。 ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックを使った袋が殆どです。 つまりは、ビニル袋ではなくてプラスチック袋なんです。


プラスチックの袋は酸素を通します。 本当にゆっくり少しずつですが通します。 そして、その酸素は中身の食品を酸化させます。 酸化した食品は美味しくないですね。

酸素を通す量はプラスチックの種類により異なります。 値段の高い容器はそれだけ酸素を通す量少ないから、中身を長く美味しく保てます。 反対は紙袋、無いも同然、あっという間に中身は美味しく無くなります。

高いお米ほど容器にもコストをかけられます。 高いお米ほど、開封しなければ、古くなっても美味しく食べられるのは、そのせいでもあります。

当然、いくら高性能の袋でもいったん封を切ってしまえば、中身はどんどん酸化します。

口をあけたらさっさと食べつくすか、それとも小さい袋でお米を買いましょうね。


次の要素が品種。

なにがんでも「こしひかり」というのは間違えよ というお話。

福島県の農業試験場のホームページ等に、焼肉にはササニシキ、カレーライスにはササニシキか日本晴れ、コシヒカリは、味が濃いので、洋食にあいます。 またコシヒカリは冷えても美味しいのでおにぎり向きです。 だそうです。  コシヒカリが爆発的に売れたのは食生活が洋食化してきたせいなのですね。 

つまり、料理にあわせてお米も選びましょう というわけ。


うちのXはカレーのときは、オーストラリア産コシヒカリとカリフォルニア産の長い粒のパサパサ米を混ぜてたいていますよ。 選択肢が無いわりには それなりに工夫しています。


次が米の研ぎ方。

私が住んでいる地方では水がまずいので、浄水器を通した水でお米を研いでいます。 ミネラルウォーターでご飯を炊く人がいますが、そこまでするのなら、お米を研ぐときから、ミネラルウォーターで研がないとだめです。 なぜなら、お米って乾いているでしょ、最初に研ぐ段階で、結構な量の水分をとぎ水から吸います。 だから研ぎ水がまずかったら、お米も美味しくなくなります。 最近は精米機が進化しているので、力いっぱい研がなくて良いそうです。  

3回水を替えて、10回転ずつ研げばOKだそうです。


次は米のたきかたです。

炊飯器に任せた! 以上


さて、残ったご飯をどうするか?

冷凍しましょう。 暖かいうちに、さっさとサランラップでもクレラップでもいいから一食分ずつくるんで、冷凍庫に入れてしまいましょう。 茶碗に入れて冷蔵庫に、なんて考えている皆さん。 ご飯を冷蔵するというのは、実は、もっとも避けるべき、ごはんの保存方法なのです。

冷凍と冷蔵、冷凍は氷点下の温度での保存ですね、たいていマイナス10度以下。

冷蔵は0度から10度ですが、まあたいてい8度くらいですよ。

つまり、ご飯を凍らせろといっているわけです。


ひとたび加熱された澱粉を冷やしていきますと、お米の澱粉の分子が壊れていきます。 壊れていくと舌触り口あたりが、非常に悪くなります。 これを澱粉のベータ化と言いますが、理屈はともかく、お味は最低。 ほっとけばほっとくほど、ベータ化は進み、再加熱しても元に戻らなくなってきます。これを防止する方法が、とっとと冷凍する方法です。 冷凍すると、この澱粉分子の時間経過による破壊が止まります。 これを電子レンジで、食べたいときにチンしてアルファー化させるのが一番よい、ご飯の一時保管の方法です。


お米がすえたかな? なんていいながら、保温モードにしたままの炊飯器を覗いて、匂いを嗅いでいるあなた。 美味しいご飯が食べたいなら、そういう不精をしてはいけません。 


まとめ

美味しいご飯を食べるには、

1.              食べる量が少ない人は10Kg袋なんて買わないこと。 保管中に味が悪くなります。 あなたの家は農協の倉庫ほど優秀な保管場所ではない。

2.              自分で精米する人は、精米機の掃除をまめにしましょう。 それから、その日その日の分だけ精米しましょう。 家庭用精米機はあまり性能がよくないので、それで精米した米は長期保管ができません。

3.              料理に適したお米を選びましょう。 

4.              米とぎは美味しい水でしましょう。 研ぎすぎると、かえってまずくなります。

5.              余らないように炊きましょう。 余ったらすぐ冷凍してしまいましょう。

以上 お米の話でした。


米は専門でないので、かみさんに精米と澱粉保存の科学を、農協に努める友人に、精米機の薀蓄を教えてもらいました。


初出「北海道ブラインドハムクラブ」録音雑誌2004 (c)ZL2PGJ 

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